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投稿者:金環
基本情報
タイトル 「シェカ ムノンガ」short story
タグ *線画 *shortstory付き
コメント  



 夜明け前、皆の目を盗んでこっそりと抜け出した。
 走って向かった約束の場所には、白い息を吐きながら待つきみが居た。

「ジャッジャ怒るだろうなぁ」
「エチナムガーガみたいにな!」

 寒さにかじかんだ手を擦りあわせながらそう言えば、子供みたいな顔をしてきみは笑った。

「もいできたけど食べる?」
「食べる!」

 差し出したオムクニュの実にきみの目が輝くのを見て、獣の森へ寄った甲斐があったなぁと思わず笑みが洩れる。
 そうしてひそやかに笑いあった後、二人並んで歩き出した。
 横目できみをそっと見る。
 受け取った実に齧りつきながらも姿勢良くまっすぐに背を伸ばして歩く姿は、まるでエントゥーハのようだ。
 そんなきみの隣を歩く。 海を見下ろしながら、いつものように。
 白々と、夜が明けていく。
 きみの横顔が、ほの白く照らされていく。


 やっぱりエントゥーハのようだ、ともう一度思った。




 

ファンイラストとか捧げ物とか妥協したくないのに、描いたもの、今描いているものの出来がどうしても満足出来なくて、とうとう脳みそパーンとなったので、気晴らしに桃の色筆が女の子の唇にしか使われたことがないから桃色多用するようなイラストをなんか描こうと鉛筆持って適当に描き始めたのに、この子の顔を描いた瞬間に下のが降りてきた、……ので結局まじめに描くことになり今に至る。



イラストの子は、遥か遠くに行くのをさだめられた子。
かたり手の子は、そこから動くことをゆるされない子。
イメージはとってもファンタジー世界です。

二人の性別はあえて決めていません。
女の子なのか男の子なのか。
同性同士か、異性なのか。
友情か、恋か、それも決めていません。
お互いに同じ思いで想い合っているのは確かですが。
行く先も、逃避行なのか、最後の思い出作りなのか、それも決めていません。

こちらをたまたまご覧頂いた方の好きに受け取って頂ければと思います。

いつもの4Bで下絵、シグマ0.38mmで線入れ。
背景がっつり入れる予定の時は特に、線画のスキャンデータは必ず残しておくことにしました。
この後上げる予定のファンイラストが線画残しておかなかったのを物凄く後悔したので……。



ちなみに、文中の雰囲気出しカタカナ単語は、ニャンコレ語を流用しました。

ジャッジャ(おばさん)
エチナムガーガ(サイチョウ)
オムクニュ(イチジク)
エントゥーハ(カンムリヅル)

母国語として利用するのが三百万人以下しかいない、アフリカの多数ある言語の一つ。



「シェカ ムノンガ」……「いっぱい笑って」




iコード i67786 掲載日 2013年 07月 10日 (水) 11時 47分 21秒
ジャンル イラスト 形式 JPG 画像サイズ 1922×1629
ファイルサイズ 310,436 byte

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-みてみん(Mitemin)-